ペットショップ不買運動に異議あり

説明

子犬を展示販売するペットショップに対して不買運動が行われています。現状を紹介し、批判します。

本文

運動の現状

日本の犬の流通システムは悪の根源」なる記事を読み、不快感を覚えた。

冒頭を引用する。

LIVING WITH DOGSは、生体展示販売を行っているペットショップでフードやグッズ類を買いません。

なぜならば、そのようなペットショップは、安易に仔犬が手に入る為心構えなしに衝動買いする人が多いからです。そしてそのような飼い主によって簡単に捨てられるような状況になります。また安易に産ませるバックヤードブリーダーの受け皿として、また悪徳ブリーダーの利益を支えているからです。

彼らはこの考えを推し進め、不買運動への賛同サイトを募っている(「ペットショップでの犬の生体展示販売反対」)。賛同サイトは現在126を数える。

薄弱な根拠

不買運動は自由にしたらいい。ただ、根拠が弱すぎる。

数万から数十万円のペットを衝動買いできるのは裕福な御仁だろう。一方、ペットを捨てる理由として多いのは次のようなものだ。

これらはすべて金銭で解決できる。飼える家に住めばいいし、ペットシッターを雇えばいい。去勢・避妊手術をすれば子犬は産まれない。「簡単に捨てられるような状況になります」などと、どうして言えるのか。

また、悪徳ブリーダーについては当事者を告発すれば済むことだ。ペットショップに責めを負わせる筋合いはない。

自己矛盾

同サイトに「幸せだった次朗」と題された記事がある。以下の文章から始まる愛犬家の体験談を取り上げている。

次朗が我が家に来た日は、6月たまたま小学生だった息子と猫の餌を買いに行ったペットショップで出会いました。親子3人がひとめ惚れ状態で衝動買いをしたことを昨日のように思います。

これに対するLIVING WITH DOGSの紹介文はこうだ。

ここにご紹介するのは、幸せな生涯を全うしたあるハスキーとその飼い主さんの話です。すべてのハスキーがこのような犬生を終えられると良いですね。

衝動買いは批判対象ではないのか。運動の前に自己矛盾を解決するがいい。

この文書の情報

この文書はウェブサイト「ちんたらした暮らし」の一部です。

公開日
2003年11月17日
最終更新日
2005年12月4日
作成者
岩本隆史
URL
http://purl.org/net/slowlife/20031117/