マイクロチップ装着義務は犬の販売者に

説明

装着率を高めたいなら販売者の義務とすべきと主張します。

本文

飼い主は義務を守らない

犬へのマイクロチップ装着義務は販売者に課すべきではないか。飼い主に課すより装着率が高くなるだろうからだ。

チップ装着は早ければ2005年中にも飼い主の義務となる。2005年に成立する見通しの動物愛護法改正案に盛り込むべく自民党の「動物愛護に関する小委員会」で検討されている(朝日新聞・2004年4月27日)。

だが、飼い主の半分は義務を守らない。飼い犬の登録率は61.1%に過ぎず(推計、国立公衆衛生院・1996年)、登録犬の狂犬病予防接種率は76.1%に過ぎない(平成14年度、厚生労働省「狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数と予防注射頭数等について」)。既存の義務を守らない人が新たな義務を守るとは思えない。

販売者の利点

そこで、発想を変えて、販売者の義務としてはどうだろうか。販売者には迷惑な話に聞こえるかもしれないが、ちゃんと利点がある。

飼い犬のチップ装着率が高まるほど、ペットショップの売上が伸びる。なぜか。飼い主はチップ装着済みの犬を安易に捨てられない。そのため、長く飼われる犬が増える。犬は売れなくなるが、関連商品の売上が上がる。生体より関連商品のほうが利益率が高い。すなわち、売上が伸びる。装着にはコストがかかるが、客に負担させればよい。

ブリーダーは、チップを装着して売れば、子犬の行く末の心配が少ないだろう。犬を捨てるような人は始めから買わなくなる。

一方、飼い主にとっての利点は、愛犬が迷い犬になった場合に再会しやすいぐらいなものだろう。だが、愛犬がいつか迷い犬になるかもしれないと思っている飼い主など、どれほどいるだろうか。

装着率を高めたいのであれば、販売者の義務とすべきだ。

追記(2006年4月12日)

チップ装着済みの犬猫しか販売しないペットショップが現れた。「ワンニャン村」だ。2006年4月より、販売する犬猫すべてにチップを装着しているという。

この試みの成否は未知数だが、他社に先んじて行動する姿勢をひとまず評価したい。

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この文書の情報

この文書はウェブサイト「ちんたらした暮らし」の一部です。

公開日
2004年8月15日
最終更新日
2006年4月12日
作成者
岩本隆史
URL
http://purl.org/net/slowlife/20040815/